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『落っこちてきた天使』 上
2007 / 12 / 14 ( Fri )
幸平は窓からボーッと空を見上げていました。
と、そのとき突然、雲の間からピカッと光るものがありました。
宇宙ビームだ! もしかしたらUFO?

「ドスン! アイテテテテ……」
「アーッ、びっくりした!」
目の前にいきなりの訪問者。さっきまで沈んでいた気持ちはどこへやら……
幸平は目をパチクリさせています。
小人!? いや、背中に小さな翼がついてるぞ。
幸平はすっかり興奮していました。
もしかして、天使!? そうだ、天使だ! 小さな天使が落っこちてきた!

「やれやれ。いくらぼくでも地球の重力にはかなわないや」
幸平には、天使のつぶやきが言い訳がましく聞こえました。
それにしても夢をみてるのかな? 思わずほっぺたをつねってみました。
「痛い!」
幸平の声にびっくりして小さな天使は振り返りました。
「やあ、ごめんごめん」天使は照れくさそうに笑いながら机の上にピョンと飛び乗りました。
 
不思議そうな顔で見つめる幸平に、天使はニッコリ笑いながら説明しました。
「君のことが心配でさあ。雲の切れ間から見てたんだけど、つい夢中になって
バランスをくずしちゃった……」
そう言いながら、首を回して背中の羽を点検。何ともなくてホッとした様子です。
 
そんな天使を見て、幸平はつぶやきました。
「見たことのある顔だなあ」
真ん丸い目。ちょっぴり空を見上げた鼻。髪はくせっ毛でところどころはねています。
しばらく考え込んでいた幸平ですが、ふと気がつきました。
「なあんだ。見たことあるはずだ。ぼくにそっくり!」
天使は幸平のつぶやきに、気づかないふうです。

「ところで、何か悩みごとでもあるの?」
ベッドの横に置いてあるリュックをチラッと見ながら天使が聞きました。
「別に」幸平は体でリュックを隠すようにしながら、わざとブスッとした口調で答えました。
でも……なぜか急に胸がドキドキしてきたのです。
「ふうん、まっいっか」
天使は地球儀のてっぺんに器用に腰かけて、まじまじと幸平の顔を見つめました。
 
二人の間にしばらく沈黙が流れました。
 

窓から心地よい風が吹いてきます。でも幸平の心は相変わらず憂うつでした。
幸平はしぶしぶ話し出しました。
「2学期になって親友の亮介が転校しちゃったんだ。
それに、勇太は相変わらずいじわるばっかりするし……」
この間、9歳の誕生日に買ってもらった地球儀を見ながら、幸平は言いました。
「この地球には六十六億という人が住んでいるって学校で習ったけど……。
ぼくは世界中でたった一人ぼっち。誰もぼくのことなんかわかってくれない」
思わず涙がこぼれ落ちそうになりました。

「ふうん」
天使は同情するような表情で真剣に耳を傾けてくれています。
幸平は何だか嬉しくなってきました。
「それにお母さんは口を開けば、『勉強しなさい』ばっかり」
幸平はモヤモヤした雲を吹き散らす風のように大きなため息をつきました。
そして一気にしゃべり出しました。

「最近のお母さんうっとうしい。ぼくが勉強しているときはニコニコしているくせに……。
テレビゲームに夢中になったり、ボーッとしていたら、とっても不機嫌。まったくいやんなっちゃう。
それに、ふた言目には『しっかり勉強して、私立の中学校に入らなくっちゃ』だって……。
「私立の中学校だって? 勝手に決めつけないでよね」
幸平は口をとがらせてひとり言のように続けます。まだまだ言い足りない様子です。

「そうか、それで学校に行かないの?」
幸平は今日でもう3日も学校を休んでいるのでした。
「朝起きて学校に行こうと思うんだけど、頭とおなかが痛くなって……。
無理に行こうとしたら、胸がムカムカして吐きそうになるんだ」
「そりゃ、大変だ」
天使は親身になって心配してくれています。

「ところで……どこかに行くの?」
天使は幸平の体の後ろをチラッと見ました。
「………」
「もしかして、どこか遠いところに旅に出るとか?」
「ねえ、秘密守れる?」
天使はコックリうなずきました。
「ぼくは家でも学校でもひとりぼっち。誰もぼくのことなんか……」
幸平は涙をぐっとこらえました。

「きっと、お父さんもお母さんも、ぼくがいなくなったって平気さ。
ぼくは頭もよくないし、のろまだし、お母さんに逆らってばかり…
どうせぼくなんかいないほうがいいに決まってる。」
「それで旅に出るの?」
天使は決して”家出”とは言いませんでした。
「うん」
幸平は天使の顔を穴があくほどまじまじと見ながら、
「絶対、秘密だよ」と話し出しました。


夏休みは毎年、田舎のおじいちゃんとおばあちゃんの家に遊びに行くことになってる。
丹波の田舎はお母さんの故郷。毎年お盆に一週間くらい泊まるんだ。
ぼくはおじいちゃんとおばあちゃんが大好き。
お母さんのように「○○しなさい」とか「○○したらだめ」とか、頭ごなしに言わないし。
いつもニコニコ笑って話を聞いてくれる。 
 
それにおじいちゃんの幼なじみの竹じいちゃんも大好き。
竹林に住むから、『竹ちゃん』と呼ばれているらしい。
竹じいちゃんはとっても竹細工がうまいんだ。
今年の夏休みの工作は、竹じいちゃんに教えてもらって、かごを作ったんだ。
ホラ、これ。うまいだろ?
 
竹じいちゃんの竹林はすごく広いよ。涼しくて空気がとってもおいしい。
それに地面が枯れた笹の葉でフワフワしていて気持ちいいの。
太くてまっすぐに伸びた竹は天まで届きそうだし、あたりはしんとして、まるで別世界のよう。
かぐや姫ってさあ。
もしかして、こんな竹林にUFOで降りてきた宇宙人だったのかもしれないなあ。
 
竹じいちゃんの庭で取れたきゅうりとトマトは最高!
「このまま食べてみい。うまいぞ」って言われて、マヨネーズをつけずに丸かじりしたら、
とってもおいしかった。きっとあれが正真正銘の自然の味なんだね。
 
竹じいちゃんはごつごつした指を器用に動かして、竹を編みながらいろんな話をしてくれた。
昔、大きな建設会社に勤めていて、山や畑を壊しては、
大きなゴルフ場や高速道路などを造ったこと。
子どもが一人いたけど高校生のときに交通事故で亡くなったこと。
奥さんが十年前にガンで亡くなったこと。
 
ぼくのことを子ども扱いせずに何でも話してくれる。
「わしはなあ、仕事、仕事で忙しくて人生のことをあんまり真剣に考えたことがなかった。
けどなあ、ひとりぼっちになってようやくわかってきた。
自分が何で生まれてきたのか、この年になってわかるとは皮肉なもんやなあ」って
つぶやくように言ってた。
 
竹じいちゃんは、仕事とはいえ、自然を破壊したり、乱開発したことに対して
すごく反省したらしいよ。
生まれ故郷に戻ってやっと心が穏やかになったこと。
自然と共存共生して生きていくことが、人間にとってどれだけ幸せなことか。
そんなことを、友だちに話すようにぼくに話してくれる。
 
一度ぼくが「ひとりでさみしくないの?」って尋ねたら、微笑みながら言ったんだ。
「さみしくなんかないで。話しかけたらいつでも坊主と嫁はんが答えてくれるんや。
あいつらはいつまでもわしの心の中に生きとるからな」って。
 
「ほんとうに秘密だよ」
幸平は天使に何度も念を押しました。
「ぼく、竹じいちゃんとこに行くつもり。竹じいちゃんの子どもにしてもらう」
リュックの中をたしかめながら幸平は言いました。
「ぼく、竹細工だって手伝えるし、竹林や畑の仕事もできるよ。
それにゴンという犬とも仲いいんだ。だからさみしくなんかない」
「そうか、それもいいかもしれないな」
 
家出を止められると思っていた幸平は、天使の言葉にちょっと拍子抜けしてしまいました。
そして、真ん丸い目をさらに丸くして天使に尋ねました。
「ねえ。ほんとに、いい学校、いい会社に入れなかったら幸せになれないの?」
いつも疑問に思っていたことを天使にぶつけてみました。天使は腕組みをしながら
少し首を傾げました。
 
そうだ! 幸平はとっておきの質問を投げかけることにしてみました。
それはかつて誰もまともに答えてくれなかった“質問”です。
「何か聞きたいことでもあるの?」
天使は幸平の気持ちを見透かしているようです。
幸平はちょっぴりためらいながら尋ねました。
「人間はどうして生まれてきたの?」
いくら天使でも、これにはちゃんと答えてくれないだろう。
幸平は高をくくっていました。

「どうして生まれてきたんだって?」
幸平の顔をまじまじ見つめながら、
「そんなこと、決まっているだろ。『宇宙の法則』を実現するためさ」
天使はさも当然という顔をして答えました。
「宇宙の…ホ・ウ・ソ・ク!?」



まこりんさんの日記より



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